1ヶ月健診でよく質問されること

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生まれたばかりの赤ちゃんをお家に迎えて、次にやってくるイベントとして1ヶ月健診があります。
慣れない育児に追われながら、日々の疑問や不安を解消すべく準備をしてこられる親御さんも多いです。

われわれ小児科医もなるべく全ての質問にお答えしようと努めますが、時間が許さなかったり、いざ当日になると聞こうと思っていたことを忘れてしまったりもするでしょう。

そこで、今回は現役小児科医である筆者が、1ヶ月健診でよく質問されることを一問一答形式でまとめました。
これから1ヶ月健診を迎える親御さんや、1ヶ月健診で聞き漏らした疑問のある親御さんのお役に立てれば幸いです。

目次

哺乳・体重について

母乳が足りているかはどうやって判断したらいいですか?

2015年の乳幼児栄養調査では、授乳について困った…77.8%、母乳が足りているかわからない…40.7%、母乳が不足気味…20.4%と、母乳育児に対する不安を抱えている親御さんが多いことがわかります(1)

生後0-3ヶ月までは、1日あたり25-30gの体重増加が目安とされています。
体重増加に必要な1日の哺乳総量の目安としては、体重あたり150ml程度(3kgであれば450ml程度)です。

充分に母乳を飲んでいるかの指標として、以下があげられます。

母乳が足りているサイン(1)
・24時間に8回以上母乳を飲む
・排尿が1日6-8回以上、排便が1日3-8回
(ただし、紙おむつの場合排尿は少なくカウントされることがある。また、排便は生後1か月前後から1日1回程度になることがある)
・授乳と授乳の間を寝たり機嫌よく過ごせている

一方で、排尿や排便の回数が少ない、泣きや皮膚のハリが弱いなどは母乳不足を示唆する所見の可能性があります。

太りすぎではないですか?

体重が増えていないことで悩む親御さんもいれば、増えすぎ・太りすぎではないかと心配される親御さんもいらっしゃいます。

新生児・乳児の体重増加について、乳児期早期の急激な体重増加とその後の肥満との関連を示す研究結果は多く報告されています。

乳児早期の急激な体重増加による影響(1)
・6歳のときに重度の肥満であった児と非肥満児では、生後4か月の時点でBMIに差があった
・6か月時点のBMIが全体の85%以上に該当する児は、6歳時点での肥満リスクが3倍になる

母子手帳の成長曲線で、横線をまたぐような急激な体重増加がある場合には注意が必要なことがあります。
特に、ミルクは母乳よりもタンパク質の含有量が多く、肥満との関連が指摘されています。ミルクをメインで飲んでいて、成長曲線をまたぐような体重増加がある場合は、減量を考えてもよいかもしれません。ただし、自己判断でミルク量を調整するのではなく、乳児健診の際などに医師に相談してからがよいでしょう。

また、早期の離乳食開始が肥満のリスクとする報告もあり、生後4か月以前に離乳食を始めるのは避けた方がよいでしょう。

欲しがったら授乳をさせてもいいですか?

原則として、欲しがるときに欲しがるだけ授乳をしてよいとされています。

飲みたがっているサイン、飲めているサイン、満足しているサインは以下の通りです。

飲みたがっているサイン(1)
・口を開けている
・舌を出している
・手を口に持っていく
・口をちゅぱちゅぱさせている
・もぞもぞ動いている

授乳間隔はお子さんによって大きく差があり、5-10分で終わる児から1時間吸っている児までまちまちです。後者の場合でも、最初の数分で栄養に必要な量の哺乳はできており、あとの時間は母親との時間を楽しんでいる時間であるとされています。

欲しがるときに欲しがるだけあげた場合、母乳のみの育児の場合8-12回の哺乳になることもあります。
以下のような、飲めているサイン、満足しているサインがあれば大丈夫であることが多いです。

飲めているサイン(2)
赤ちゃん側

・哺乳中、唇が開いてチューリップ状になっている
・深く乳房に吸着している
・「ごくん」と飲み込んでいる音がする
母親側:感じない人もいます
・母親側の乳首が痛くない
・張っていた乳房が授乳後に柔らかくなる
・授乳中にお腹が「ツーン」「キューッ」とした感じがある(オキシトシン反射)
満足しているサイン
・飲み終わりのときにリラックスしている
・自分から自然に授乳をやめる
・自然に眠る

睡眠について

全然寝てくれないのですが、大丈夫でしょうか?

大人には、日中に活動的になって夜には眠くなるという1日のリズム(概日リズム、サーカディアンリズム)があります。一方で、赤ちゃんには3-4時間周期のリズムがあると言われています(1)

生後3-4か月までの間に大人と同じリズムを獲得していくため、それまでの期間は何をやっても泣き止まないということが起こりえます。

睡眠リズムを作るための方法として、明るさの調整があります。
メラトニンというホルモンは睡眠ホルモンとも呼ばれ、体内時計を調節して睡眠のリズムを作る働きがあります。メラトニンの分泌は光によって調節されるため、起きている間は明るく、寝ている間は暗くすることで睡眠のリズムを促せるかもしれません。
また、メラトニンは母乳中にも含まれるため、夜間に母乳を与えることで寝付きやすくなることもあります。

起こさないと6時間くらい寝てしまいますが、起こした方がいいですか?

これについては、一概によいとも悪いともいえません。
夜間の連続睡眠時間については、以下のような報告があります。
生後1ヶ月では平均で約4時間半、長い児では6時間近くまとまって寝る、ということになります。

月齢夜間連続睡眠時間(時間)
03.63±0.66
14.60±1.09
26.18±1.63
36.94±1.58
47.00±1.76
夜間連続睡眠時間
参考文献(2)

注意しなければならないのは夜にまとまって寝ることで1日の総哺乳量が少なくなってしまったり、体重の増えが悪くなってしまう場合です。
そのような場合は、夜に起こして授乳した方がよい可能性があります。

反対に、体重増加が月齢相当で、ほかの基礎疾患などもなければ夜に起こす必要はないかもしれません。
夜に長く寝ることが心配な場合は、哺乳量や体重増加の経過とあわせてかかりつけで相談しましょう。

入浴について

お風呂はいつから大人と一緒に入っていいですか?

新生児期(生後30日まで)は、大人と同じ浴槽に浸かることは避けた方がよいでしょう。
以下のように、人が入った浴槽には雑菌が多く存在しているからです。

ベビーバスによる沐浴は、①浴槽より小さく清潔が保ちやすい、②湯量が少なく温度調節をしやすい、③介助者が着衣で行える、といった利点があります。

沐浴を終了してよい時期として、1ヶ月健診が終わり、おへそが乾いた時期からと言われています。ただし、全てのお子さんが1ヶ月健診後に沐浴をやめないといけないわけではありません。低出生体重で生まれたお子さん、合併症のあるお子さんなどが1ヶ月健診後も沐浴を継続することは特に問題はありません。

赤ちゃんはどのように洗ったらいいですか?

赤ちゃんをお風呂に入れる際、注意すべき点が以下にまとまっています。
ポイントは、①泡で洗う、②関節やしわは伸ばして洗う、③すすぎをしっかりする、などがあります。

特に、首回りは洗い残し、すすぎ残しが多いです。
また、顔は嫌がってしまうため、洗う時間やすすぐ時間が短くなりやすいため注意が必要です。

皮膚の洗浄
アレルギーポータル アトピー性皮膚炎

便について

便がなかなか出ませんが、どうしたらいいでしょうか?

新生児から乳児にかけては、排便が1日何回以下で便秘という定義はありません。月齢、栄養方法、環境によって排便回数が異なるためです。
また、母乳栄養のお子さんでは生後4-6週頃から急に便の回数が減ることも多いです(1)

排便回数が少なくても、以下の場合はあまり心配はないとされています。

排便回数が少なくても経過観察でよい場合(1)
・哺乳量が保たれている
・体重が順調に増えている
・嘔吐、不機嫌、唸る、お腹が張るなどの症状がない

反対に、以下の場合は注意が必要です。

注意が必要な便秘の症状(1)
①お腹が異常に張っている
②綿棒刺激で爆発するような勢いの排便がある
③お尻の溝の上に凹み、腫瘤、異常な発毛などがある

①②はヒルシュスプルング病③は潜在性二分脊椎という病気の症状としてみられることがあります。

便秘を疑った場合、綿棒刺激(綿棒浣腸)が有効なことがあります。具体的なやり方は以下の通りです。

下痢が続いていますが、胃腸炎でしょうか?

母乳栄養のお子さんは、便が緩くなりやすいです。母乳成分である、乳糖や腸内細菌叢の影響と言われています。
また、胃結腸反射といって、哺乳ごとに少量の排便がみられることもあります。
これらの場合、哺乳量や体重増加に問題がなければ様子を見て問題ないことがほとんどです。

下痢が心配で受診する場合は、便の写真、あるいは便の付着したオムツを袋に入れて持参するなどして相談すると診察の一助となります。

便に血がついていますが、お腹の病気でしょうか?

新生児期に血便が見られる場合、頻度の高いものとして①おしりのただれや裂肛による物理的な出血②リンパ濾胞増殖症、があげられます。

②のリンパ濾胞増殖症については聞きなじみの薄い疾患だと思います。
リンパ濾胞増殖症とは、腸管の粘膜にリンパが発達し、そこから出血することで便に血が混じる病気です。母乳中の免疫物質、腸内細菌、便の産生環境などが誘因と言われていますが、詳しいメカニズムはわかっていません。
通常の便に一筋、二筋程度の血が混じっている場合は、この疾患のことが多いです。
リンパ濾胞増殖症は経過観察のみで自然によくなることが多い良性の疾患です。

哺乳が進まない、体重の増えが悪い、血液の量が多い、月単位で血便が続く、といった場合は小児科で相談しましょう。

顔・皮膚の異常について

鼻が詰まっているような音がしたり、鼻がぐずぐずしています

生後1ヶ月ごろは、もともと鼻腔がせまく、口呼吸が苦手で鼻呼吸がメインです。
そのため、乳児や幼児に比べて鼻閉(鼻づまり)が目立ちやすくなります

風邪以外に、外気温度との差、乾燥、タバコや線香の煙なども鼻づまりの原因となります。
加温、加湿などは鼻づまりの予防の一助となるかもしれません。
哺乳ができていて体重増加も順調であれば、多くの場合は心配いりません

お腹がべこべこするような呼吸をしていたり、顔色が悪くなったりするような様子がある場合は小児科を受診しましょう。

寄り目に見えます

新生児は両目で立体的にものを見ること(両眼視)ができないので、黒目の位置が安定しません。両眼視ができるようになるのは、生後2ヶ月ごろからと言われています。

赤ちゃんは鼻が低く、目と目の間が広いことから、一見寄り目にみえやすいという特徴があります。
これを偽内斜視といいます。

寄り目かどうかは、角膜反射法という方法で簡便に確認できます。
正面からフラッシュ撮影をした際、フラッシュの光の反射が瞳孔の中央にあれば正常です。

角膜反射法

もし内斜視が疑われる場合は早期に眼科を受診した方がよいため、上記の方法で判断がつかない場合は眼科を受診しましょう。

湿疹があります。乳児湿疹ですか?アトピーですか?

乳児湿疹とは、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、新生児ざ瘡、汗疹(あせも)、おむつかぶれ、よだれかぶれ、などの皮膚疾患の総称として用いられる呼び名です。

中でも頻度が高いものが、脂漏性皮膚炎アトピー性皮膚炎です。
脂漏性皮膚炎は生後2週間頃から出現し、2、3ヶ月頃に自然によくなります。
アトピー性皮膚炎は早いと生後1、2ヶ月頃に出現し、2ヶ月以上続きます。そのため、生後1、2ヶ月では両者の区別が難しいことがあります。

・脂漏性皮膚炎
母親由来のホルモンなどの影響で皮脂の分泌が促され、生後2週間ごろから頭皮、額、眉などの皮脂の分泌が盛んな部位に白色~黄色のかさぶたをまとった湿疹が出現します。皮膚の常在菌の一種であるマラセチアも関与しているとされています。これを脂漏性皮膚炎といいます。生後2-3ヶ月ごろから皮脂の分泌が落ち着くため、自然と良くなります。多くの場合、皮膚の洗浄と保湿で十分です。必要に応じて、ステロイドの外用薬や、抗真菌薬の外用薬を用います。
・アトピー性皮膚炎
顔だけでなく、体幹や四肢(特に関節部)にも出現する、かゆみを伴う湿疹です。①かゆみ、②特徴的な分布(左右対称、顔だけでなく体も)、③よくなったり悪くなったりする、といった特徴があります。また、アレルギー素因(アトピー素因)もよくみられ、親御さんや兄弟姉妹にもアトピー、喘息、食物アレルギー、花粉症といった病気があることが多いです。

脂漏性皮膚炎の画像 シオノギ製薬(湿疹の写真が苦手な方はご注意ください)
アトピー性皮膚炎の画像 アレルギーポータル(湿疹の写真が苦手な方はご注意ください)

脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎の見分け方として、①かゆみがあるかどうか、②顔以外にあるかどうか、③かさぶたがついているかどうか、④生後3ヶ月を過ぎて自然によくなるかどうか、といった点があげられます。

アトピー性皮膚炎については、以下の書籍も参考になります。

マンガでわかる! 子どものアトピー性皮膚炎のケア

おへそ、陰部について

おへそが出ていて、押すと引っ込むのですが大丈夫でしょうか?

臍ヘルニアと呼ばれる病気の可能性があります。
臍帯が取れた後に、お腹の壁(腹壁)に開いている臍帯の通り道(臍輪)から腸管などが出てくることを臍ヘルニアと言います。

日本では4-5%の赤ちゃんにみられ、特に低出生体重児では頻度が高いとされています。
泣いたり、いきんでいるときに臍が出っ張ってくることが気づかれることが多いです。
自然によくなることが多く、1歳までに80%、2歳までに90%がよくなると言われています。

圧迫療法といって綿球などでお臍を圧迫することで、なおりが早くなるという報告もあります。
病院によっても実施しているところとそうでないところがあるので、お臍が気になった場合はかかりつけの小児科で相談しましょう。

臍ヘルニアは多くが自然によくなりますが、よくならなかった場合は1~2歳頃に手術を行うこともあります。

臍ヘルニアに対して圧迫療法を行い改善した例
日本小児外科学会HPより

臍ヘルニア 一般社団法人 日本小児外科学会

おへそが赤くてじゅくじゅくしていますが、大丈夫でしょうか?

考えられる病気として、臍炎あるいは臍肉芽腫があります。

①臍炎
 おへそにばい菌が入って、おへそが赤くなったり、黄色い膿がでたりする病気です。
 軽症であれば抗生剤の塗り薬で治療しますが、炎症の範囲が大きい場合には点滴の抗生剤での治療が必要となることもあります。

②臍肉芽腫
 おへそがとれたあとに、赤く盛り上がってじゅくじゅくした組織ができる病気です。
 治療はいくつかあり、ステロイドの塗り薬、糸で縛る方法、硝酸銀という薬品で焼く方法などがあり、施設によっても行っている治療が異なります。

臍肉芽腫
日本小児外科学会HPより

臍腸管遺残、尿膜管遺残 一般社団法人 日本小児外科学会

タマタマが降りてきていないと言われたのですが?

停留精巣という病気が考えられます。
停留精巣は、新生児の約5%にみられる疾患です。早産児や低出生体重児では頻度が高いとされています。

男の子のタマタマ(精巣)は、胎児期にはお腹の中にあり、産まれてくる頃に陰嚢の中に降りてきます。
精巣の下降が不完全で、陰嚢内に触知しない状態を停留精巣といいます。
生後6ヶ月ごろまでには自然に降りてくることが多いですが、それ以降も続く場合は手術が必要となることがあります。

停留精巣は、男性不妊の原因となるおそれがあること、精巣悪性腫瘍のリスクとなることから、1歳から2歳ごろにまでに手術を行うことが推奨されています。

「子供の精巣が降りていない」と言われた 日本泌尿器科学会
停留精巣 日本小児泌尿器科学会

おちんちんの皮はむいた方がいいですか?垢はとった方がいいですか?

まず、赤ちゃんはほとんどの場合生理的に包茎の状態です。
そして、赤ちゃんの時の包茎が青年期以降の包茎に直結するわけではありません(1)

真性包茎の場合、無理に皮を引き下ろすことで出血や痛みが生じるおそれがあります。
また、カントン包茎といって、皮がもとに戻らなくなってしまうことがあり、この場合は緊急での受診が必要となります。

基本的には、小児の包茎は治療対象となることは少ないですが、以下の場合では治療が必要となることがあります。

包茎の治療をした方がよい可能性がある場合(参考文献
・排尿の妨げとなる(排尿時に皮が膨らむ)
・亀頭包皮炎(陰茎が赤く腫れたり、膿が出る病気)を繰り返す
・尿路感染症(おしっこの感染)を繰り返す
・カントン包茎(むけた皮が戻らなくなる)を起こす場合

包茎 日本小児泌尿器科学会
最新の小児包茎の治療方針-これでもうママも悩まない- KOMPAS 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト

検査について

新生児聴力検査が再検査になりました

新生児聴力検査はあくまでおおまかな聞こえの検査であり、この検査結果をもって聞こえに問題があることを確定するものではありません

出生時からの高度難聴は1000人に1人と言われています。
お子さんのうち、約0.4%が新生児聴力検査後に精密検査機関を受診しています。その中で、両側難聴と診断されたお子さんは27%、片側難聴と診断されたお子さんは23%という報告があります。

先天性難聴の場合、生後3か月までに診断し、生後6か月までに療育の介入方法が決まっていることが望ましいと言われています。そのため、聴力検査で要再検となった場合、生後1-2か月ごろまでに精密検査機関を受診することが理想です。

新生児マススクリーニング検査が再検査になりました

新生児マススクリーニングは、先天性代謝異常症や内分泌疾患の早期発見を目的に行われています。1977年から実施されており、徐々に対象疾患が拡大しています。

新生児マススクリーニングが再検査となるのは、初回の検査で確実に正常と判断できない場合です。すなわち、再検査が必要であることがただちに病気の診断となるわけではありません。
採血時の体調、体重、哺乳量、薬剤の影響などによって再検査となることもあります。
再検査の結果、病気の疑いがある場合には精密検査を行います。

ある報告では、新生児マススクリーニングの再検査率が0.2-1.1%、精密検査率が0.02-0.12%と言われており、再検査の必要なお子さんのうち精密検査が必要となるのは約1/10となります。

心雑音があるといわれました、心臓に穴があると言われました

まず、重要な点は心雑音以外に症状があるかどうかです。
心臓の病気の影響で血の巡りが悪くなった状態を心不全といいます。赤ちゃんの心不全の症状として以下があげられます。

赤ちゃんの心不全の症状
・哺乳不良
・体重増加不良
・チアノーゼ(顔や唇が紫色になる)
・呼吸障害(お腹がべこべこするような呼吸、唸るような呼吸をしている)

これらの症状があれば、すぐに精査が必要となります。

心不全の症状がなく心雑音のみの場合は、大きく2つの可能性があります。
①無害性心雑音…心臓の異常はなく、自然によくなる心雑音
②器質的心雑音…心臓の病気が原因で聞こえる心雑音

①無害性心雑音
 心臓の異常がない心雑音です。赤ちゃんは血管が細いため、心臓の異常がなくても心雑音が聞こえることがあります。最も多いのは、肺動脈という血管が細いことによる心雑音で、生後6ヶ月ごろまでには消失します。
②器質的心雑音
 心臓の病気による心雑音です。最も多いのは『心室中隔欠損症』といって、心臓の壁に穴があく病気です。穴の大きさによって症状や経過は大きく異なりますが、小さいものの場合は自然に閉鎖することもあります。

心雑音が聞こえた場合、心臓超音波検査を行って診断をつけることが一般的です。超音波検査は放射線の被曝を受けずに行える検査のため、赤ちゃんでも安全に行えます。

最後に

以上、1ヶ月健診でよく受ける質問をまとめました。

まだまだ説明しきれていない内容もありますので、「こういった内容について聞きたい」というご意見があれば、ページ右上のお問い合わせ欄からご質問ください。次の記事の参考にさせていただきます。

参考文献

  1. 周産期医学 vol. 49 2019年増刊号 周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル 第3版
  2. 周産期医学 vol. 52 2022年増刊号 191の疑問に答える 周産期の栄養
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この記事を書いた人

大学病院の小児科に所属する、現役小児科医です。
小児科医としての臨床経験を生かして、エビデンスに基づく情報発信をしています。
ご意見、ご感想などありましたらお問い合わせフォームからご連絡ください。

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